みちのく潮風トレイル /Michinoku Coastal Trail

「みちのく潮風トレイル」は、青森県八戸市蕪島から福島県相馬市松川浦までの総距離1,000キロメートルを越える、歩いて旅を楽しむための道で、自然と人間の共生、環境問題への意識啓発、そして平成23年(2011年)に発生した東日本大震災の記憶の継承を目指してつくられました。

「潮風」の名の通り、主に太平洋沿岸を踏破するルートとなっていて、令和元年(2019年)6月に全線開通しました。
全線を歩くには非常に長い道ですが、日本一美しい断崖やリアス式海岸ならではの風景、恵み豊かな世界三大漁場など見どころも多く、貴重な、忘れられない感動を味わうことができるでしょう。


みちのく潮風トレイル シンボルマーク

ルートマップの販売のほか、工事などでルートが変更になっている場合の情報発信などは、NPO法人 みちのくトレイルクラブのWebサイト、インフォメーションセンター・ビジターセンターが行っていますので、事前に情報収集して、安全に注意して歩いてください。

Hiking Map Book

みちのく潮風トレイル Hiking Map Book 01

NPO法人 みちのくトレイルクラブ

「みちのく潮風トレイル」のルートマップです。
全ルート(青森県八戸市から福島県相馬市まで)が全10冊に分冊されていて、「01」は青森県八戸市から岩手県久慈市までとなります(全10冊セット販売もあります)。

ハイキングギアショップ(TRAIL GATE)で購入する

みちのく潮風トレイル 階上岳周辺の見どころ

みちのく潮風トレイルのルートは、青森県階上町のJR階上駅前を通過した後、階上岳山頂を目指し、階上町小舟渡こみなと漁港から再び海岸沿いに戻ります。
この区間の見どころを紹介します。

館神社

元亀げんき3年(1572年)創建の神社です。
道仏どうぶつ舘(蝦夷えぞ館)」と呼ばれる城があった場所で、地形を巧みに利用した、堀、土塁を複数備えた城でしたが、九戸政実の乱の際、天正19年(1591年)に攻め落とされました。
「舘」とは蝦夷地であった頃からの城のことで、この周辺には複数の舘がありました。

境内のモミの木は推定樹齢400年。幹周6.27メートル、樹高は28メートルあり、青森県内最大級となっています。


館神社とモミの木

茨島のトチノキ

茨島ばらじま休憩所近くのトチノキです。
茨島家の祖先が京都から取り寄せた実を庭に植えたものと言い伝えられています。

トチノキとしては青森県内最大級で、青森県指定天然記念物に指定されています。
幹周6.98メートル、樹高28.5メートル、推定樹齢は850年となっています。


茨島のトチノキ

熊野堂

伊藤姓を名乗る一族が氏神として千年以上奉事してきたとされる神社です。
熊野三山の御心境ごしんきょうまつられ、脇には阿弥陀三尊(阿弥陀如来、観音菩薩、勢至菩薩)も納められていて、熊野信仰の山伏たちの霊場だったと伝えられています。

境内の庚申塔こうしんとうは明和4年(1767年)建造で、階上町内最古となっています。


熊野堂

フォレストピア階上

階上岳の登山口にある、地元野菜や加工品の販売や、「階上早生わせ階上そば」などの食事やデザートを楽しむことができるお店です。ジェラートが人気です。
建物裏のケヤキ並木は階上町の巨木・古木の一つとしても知られています。

八戸工業大学(八戸市)の学生が作成した、歩いて名所を巡るガイドマップ「歩きに来て来て! はしかみ町」の3つのコースのうち「里山ゆうゆう・お散歩コース」はフォレストピア階上が発着となっています。
階上岳の麓の平坦な道を約90分で周遊するお散歩コースとなっていますので、こちらもお勧めです。


フォレストピア階上

登山口のケヤキ並木

階上岳山頂

北上山地最北端となる、標高739.6メートルの山頂です。
海岸から一段高い台地の上に、なだらかな稜線が盛り上がった丘陵状の山で、その形が牛が寝そべっているように見えることから「臥牛山がぎゅうさん」とも呼ばれます。
大量のマグマがゆっくりと固まり、山となったもので、山全体が一つの大きな岩であることも特徴です。

山頂展望台からは、八戸市と階上町、太平洋を一望できます。天気が良いときは八甲田山や下北半島も遠望できます。


階上岳

階上岳山頂展望台

山頂展望台からの眺望

大開平

階上岳の八合目に位置する大開平には、約2万本もの天然ツツジの群生地があり、毎年5月下旬から6月上旬には真っ赤な花を咲かせます。


大開平

大開平のツツジ群生地
(写真:Amazing AOMORI

寺下観音・潮山神社

寺下観音は神亀じんき元年(724年)から5年をかけて創建された應物寺を由来とする観音堂です。文治2年(1186年)経津主命ふつぬしのみことを合わせて祀ったことから、神仏混淆こんこうの聖地として崇信されてきました。
青森県から岩手県にかけての奥州南部糠部ぬかのぶ三十三カ所観音霊場の一番札所にもなっています。

潮山うしおやま神社の社殿は寛永3年(1626年)に建てられた旧・観音堂で、すぐそばの銀杏の木は推定樹齢800年。幹周10.1メートル、樹高23メートルとなっています。
このほか、寺下観音・潮山神社の周辺には、階上町の巨木・古木に登録されている「寺下観音のフジ」「寺下のメタセコイア」「龍神の松」もあります。


寺下観音

潮山神社と銀杏

潮山神社の銀杏

寺下の滝

茶屋 東門

「階上早生階上そば」を味わえる、寺下観音・潮山神社門前のお店です。
プロミュージシャンによるジャズライブも不定期に開催されています。

また、八戸工業大学(八戸市)の学生が作成した、歩いて名所を巡るガイドマップ「歩きに来て来て! はしかみ町」の3つのコースのうち「祈りの道・お散歩コース」は茶屋 東門が発着となっています。
寺下観音・潮山神社境内と、燈明堂跡などその周辺を回る約60分のお散歩コースとなっているので、こちらもお勧めです(勾配もありますので、トレッキングの装備をお勧めします)。


寺下観音茶屋・東門

店内

階上早生そば

銀杏木窪の大銀杏

青森県内最大級のイチョウの木で、青森県指定天然記念物に指定されています。
階上町内最古の老木と言われていて、推定樹齢は1,000年となっています。
枝からは気根が多く垂れ下がり、その気根が乳房に似ていることから近郷の人々からは「垂乳根たらちねの大銀杏」と呼ばれています。


銀杏木窪の大銀杏

出版物

みちのく潮風トレイルが紹介されている本を紹介します

みちのくに みちつくる(前編)

しまたけひと 著/双葉社

作者が「みちのく潮風トレイル」のルート確定前の2013年秋に、予定ルート全線を歩いた取材記録を元としたフィクション漫画です。

Amazonで購入する(ペーパーバック/電子書籍)
BookLive!で購入する(電子書籍)

ヤマノススメ(第19巻)

しろ 著/アース・スターエンターテイメント

登山初心者の主人公が、登山やアウトドアの楽しさに気づいていく漫画です。
第19巻では「みちのく潮風トレイル」の八戸ルートを歩いています。

Amazonで購入する(コミック/電子書籍)
BookLive!で購入する(電子書籍)