三陸復興国立公園 /Sanriku Fukko National Park

「三陸復興国立公園」は、平成23年(2011年)に発生した東日本大震災によって被災した三陸地域の復興に貢献するために、それまでの「陸中海岸国立公園」の区域を拡大して平成25年(2013年)に設置された国立公園です。
青森県八戸市から宮城県石巻市にかけての南北250キロメートル、面積は28,539ヘクタール(陸域のみ)となっていて、ほぼ中央に位置する岩手県宮古市を境に、北部は豪壮な大断崖、南部は優美なリアス式海岸が続く、自然豊かな国立公園です。

三陸復興国立公園 種差海岸階上岳地域の見どころ

種差海岸

岩礁海岸、砂利海岸、海食海岸など多彩な地形が続く海岸で、国の名勝にも指定されています。
葦毛崎展望台から種差天然芝生地付近まで6キロメートルにわたって遊歩道も整備され、太平洋の眺望を楽しみながら散策できます。
遊歩道沿いはハマヒルガオ、スカシユリなど海浜植物のほか、ニッコウキスゲ、ノハナショウブなどの高山植物も隣り合って咲く希少な場所もあり、幻想的な雰囲気を醸し出しています。

陸奥白浜駅(JR八戸線)近くの大須賀海岸は、歩くと音がする「鳴砂」の砂浜としても知られています。白浜海水浴場もあり、海水浴の季節には多くの人が訪れます。
種差海岸駅(同)周辺には天然の芝生に覆われた段丘面があり、開放的な景観となっています。

美しい景観は吉田初三郎、草野心平、司馬遼太郎など多くの文筆家に愛され、作品にもたびたび登場します。
画家・東山魁夷の作品「道」(東京国立近代美術館所蔵)は種差海岸の牧場でのスケッチが元になっていて、現在はその場所に記念碑が建てられています。


蕪島神社
(写真:Amazing AOMORI

葦毛崎展望台
(写真:Amazing AOMORI

大須賀海岸
(写真:Amazing AOMORI

種差天然芝生地
(写真:Amazing AOMORI

種差海岸の花畑
(写真:Amazing AOMORI

東山魁夷 道の碑
(写真:Amazing AOMORI

階上岳

北上山地最北端となる、標高739.6メートルの山です。
なだらかな、牛が寝そべったような形をしているので、臥牛山と呼ばれることもあります。

頂上まで複数の登山道が整備されていて、八合目までは車で行くこともできます。
山頂からは八戸市と階上町、太平洋を一望できます。天気が良いときは八甲田山や下北半島も遠望できます。
八合目の大開平には約2万本もの天然のツツジ群生地があり、毎年6月上旬頃には真っ赤な花を咲かせます。


階上岳

山頂展望台

山頂展望台からの眺望

大開平のツツジ群生地
(写真:Amazing AOMORI

五億年前からの時を刻み、今を生きる ~ 三陸ジオパーク

三陸復興国立公園とも重なる、青森県八戸市から宮城県気仙沼市までの16市町村によって、「三陸ジオパーク」も設置されています。
「五億年前からの時を刻み、今を生きる」をテーマとしていて、東日本大震災を背景に、「繰り返される災害に立ち向かい、将来に備える」「地球規模の大地の成り立ち・変遷を知る・体感する」「豊かなジオの資源と人々の暮らし」を特徴としています。

ジオパークとは、地球・大地を意味する「ジオ」と、公園を意味する「パーク」から作られた言葉で、地球化学的な価値を持つ遺産を保全し、教育やツーリズムに活用しながら、持続可能な開発を進める地域認定プログラムとして、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の正式プログラムとして実施されているものです。
三陸ジオパークは、平成25年(2013年)に日本ジオパークに認定されました(ユネスコ世界ジオパークには未認定)

東日本大震災

平成23年(2011年)3月11日14時46分に、宮城県牡鹿半島の東南東沖を震源として発生した大地震「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」は、マグニチュード9.0(気象庁)という、日本周辺では観測史上最大の地震でした。これは20世紀以降、2004年のインドネシア・スマトラ島沖地震に次ぐ、世界でも4番目という巨大地震です。
宮城県栗原市で震度7を記録したほか、非常に広い範囲を大きな揺れが襲ったのが特徴で、青森県から静岡県までの広い範囲で震度5弱以上が観測されました。

この地震では、北海道から千葉県までの沿岸を大津波が襲いました。
津波は各地で防潮堤や堤防を乗り越え、仙台平野など平野部では海岸から数キロメートル内陸まで水没し、22,000人を越える死者・行方不明者を出しました(震災関連死者含む)

福島第一原子力発電所のある福島県双葉郡大熊町にも大津波が襲い、発電所は非常用電源を含めた全電源を喪失、原子炉内の核燃料が熔解する大事故となり、周辺地域への放射能汚染も発生しました。
発電所を襲った津波の高さは、発電所建設想定の最高水位である6.1メートルを遙かに超え、14~15メートルだったと推定されています。

これら、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震と、それに伴って発生した災害をまとめて「東日本大震災」と呼んでいます。