寺下遺跡(階上町指定埋蔵遺構) /Terashita Ruins
寺下遺跡 貝塚調査風景
(写真:階上町教育委員会)
寺下遺跡は縄文時代後期前葉から弥生時代初頭(約3000年前~約2300年前)にかけての遺跡です。
昭和43年(1968年)、階上村道開設の際に多数の土器・土器片が出土しました。昭和48年(1973年)に調査が行われ、貝塚を伴う遺跡として重要なものであることがわかりました。林道拡幅に伴って平成16年(2004年)にも調査が行われた結果、竪穴式住居跡11軒、土杭11基、縄文時代晩期中葉の貝塚1ヶ所が確認されています。
土器(台付鉢形土器、壺形土器、鉢形土器、土偶の手らしいものなど)、石器(石斧など)、骨角器(骨針、装飾品など)が出土し、なかでも貝塚からは獣、鳥、魚の骨、貝殻のほかに、それらを利用して作られた多くの骨角器が確認されています。
骨角器は、骨篦、骨針、釣針、銛、ヤス(小型の銛)、根挟み(鏃の柄)、弭(弓の弦をかけるところ)形骨角器といった道具類のほか、首飾り、ヘアピンなどの装飾品が確認され、そのなかでも特筆すべきものとして、鹿角製の腰飾りと思われるものが、ほぼ完全な形で出土しています。
これらの出土品は平成20年(2008年)3月に階上町指定文化財に指定され、とくに合計141点の骨角器類は時代もはっきりしていて、これほど多くがまとまって確認されることは全国でもまれであり、縄文時代晩期の骨角器の変遷を知る上で極めて重要な遺物であると評価されて、令和3年(2021年)4月に青森県重宝(考古資料)にも指定されました。